「申し訳ないのですが、お引取りください」
彼らが持っていた手紙にきちんと目を通し状況を整理し把握したうえで、私はそう結論付け、誠心誠意彼らに頭を下げた。のに、「待て待て待て」と肩をつかまれぐいっと体を起こされた。
金髪で肌の白い彼は、私の両肩を掴んだまま力強く言う。
「お引取りする場所がないねん!わかるやん!家ないねん!」
「いや、わかるんですけど、かといって本当にこの手紙にそのまま従うわけにはいかないんですよ。そこもわかるでしょ?」
「わからん!」
「わかってよ!」
「嫌や!」
するともう一人、明るい茶髪で背の低い彼が「ユウくん!」と金髪色白の着ている服を掴む。
「当たり前やねんて、いきなしこんなん言われたら誰かてビックリするよ!ちゃんと落ち着いて順繰りに話していかな!」
金髪色白はそんな彼を振り返り、少し黙ってから私の肩を掴んでいた手を離した。
常識的な会話をするなら、彼か。私はそう判断して、少し体の位置をずらす。
「あのー、そちらの事情はだいたいわかりました。だけどこっちにも事情はいろいろとありまして」
「なんやねん俺ら以上に込み入った事情があんのか」
と金髪色白。
無視した。
「だいたい父に兄弟がいること自体私は初めて知って、しかもそれが本当かどうかはこの場では判断もできないですし」
「無視すんな!」
「ハイそうですか、ではそろそろ夕飯ですのでどうぞ、みたいにはいかないんですよ」
「おぉぉい!」
背の低い彼は項垂れるように私の言葉を聞いている。
すると、
「じゃあそっちにあんのはどんな事情やねん。そもそも俺らの親父はお前の親父に頼んどんねん。なんでお前が決めんねや」
と、不遜な声。
目が大きくて体の線の細い彼だった。
・・・メイクしてる?
「・・・いや、この家には私しかいないんで」
「せやったら親父帰ってくるまで待つから、それから決めろや」
「帰ってこないんですよ」
「は?」
「今アメリカに海外赴任中で、帰ってくるの2年後とかなんですよ」
うちの父は。
そう続けると、3人は顔を見合わせた。
「・・・・・・オカンは?」
「うち離婚して父子家庭なんですよね」
「兄弟」
「いません」
「・・・じゃ、今ほんっまに、この家にはお前しかおらんってこと?」
「そうです」
もう一度顔を見合わせる3人。





築5年の2階建て一軒家の玄関で彼らと出会ってから、まだ10分。








(06/12)