「何コレ」
「ちらし寿司」
「なんや結構俺らんこと歓迎してんねやんか」
「簡単だからだよ!!」





あれから、1時間後。
金髪色白もといユウ、背の低い茶髪もといチパ、目の大きな細身もといバル。そして私
4人、1階ダイニングにて食卓を囲んでいる。
・・・・・・なんでそうなる。
「永谷園やろコレ。混ぜるだけの。お吸い物もインスタントやん」
「うるさいですよ」
「考えられへんな。こんな女おるんや」
「文句があるなら食べないでください」
ユウの取り皿を没収した。
「あ!!おっ前何すんねん!!」
「ごちゃごちゃ言う奴に食わせるメシはない!言っとくけどね、普段はわりとちゃんとした食事作るんだよ!あんたらがこんな時間に訪ねてきたりするから簡単なご飯になっちゃったんでしょ!」
「そんな人間家に上げたらあかんぞお前、どんだけ防犯意識ないねん」
「勝手に上がりこんだんだろうが!」



そう、勝手に上がりこまれたのだ。
あれから。
彼らの自己紹介を聞いて、何はともあれ父に連絡を取ろうと思った。本当に父に兄弟がいたのかも確認しなければならないし、もし本当だとしたらそんな彼らをどうするのかも聞かなければならない。
だから、父の携帯に国際電話をかけることにした。
時差を考えれば向こうは今真夜中だろうけど、この際仕方がない。ずっと玄関にいられても困る。
『Hello?』
そして電話に出たのは、女性。
「・・・・・・・・・・・・・」
誰だ。
まさか向こうの恋人じゃないよな・・・・・・。
『・・・Hello?』
黙っている私に、もう一度彼女がそう問いかける。
そうだ、それどころじゃなかった。私はどうにかこうにか、自分はこの電話の持ち主の娘であると名乗り、父に代わるようにお願いした。
だが返ってきた答えは
『Sorry,He is in the shower room now』
ごめんね、彼今シャワー浴びてるの。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
決定じゃねーかよ。
「・・・・・・Okay, I'll call again later」
とりあえずそう告げて、電話を切る。
「・・・・・・・・・・・・・・」
いや、いいんだけど。独身だし。不倫じゃないわけだし。アメリカだし。
「・・・・・・・・・・・・・・」
いいんだけどね。


「すごない?英語ぺらっぺらやねんなぁ。なぁユウくん聞いとった?」
「アホお前、あんくらい俺でも喋れるわ」
「ふは、嘘やん絶対」
「嘘ちゃうて・・・うーわリビング広っ」
「あ、俺このソファ好き。ここ俺の場所な」
・・・・・いや、こっちはよくないぞ。
「・・・待っててって言いましたよね?」
彼らを追ってリビングに駆け込み、チパに尋ねる。彼は笑顔で答えた。
「靴は揃えといた!」
「そんなことは聞いてない」
3人の中で一番常識的だと思ったのに・・・それでも世間的には大外れか。
「で、親父と連絡とれたんか?」
ソファにごろんと横になったバルがこっちを見もせずに尋ねる。
「・・・、今ちょっと立て込んでるみたいで、話せなかった」
「そらしゃーないな。ほな連絡取れるまでは俺らんこと置いとけよ」
いや、連絡取れるまでは、家に入れないつもりだったんだよ。
「なぁそんなことより俺腹減ったんやけどー」
ユウの言葉に連動するかのように、炊飯器から炊き上がりを告げる電子音が鳴り響いた。




そして今。
チパとバルと、没収した取り皿をさらに奪い返したユウの3人はちらし寿司をかっ込むように食べている。
「・・・・・・」
なんだ、この状況。










(06/12)