一つ、健全なアルバイトをして少しでもいいから生活費を稼ぐ事。
一つ、兄(彼らの父親)から連絡があったらすぐに知らせること。
一つ、娘には手を出さないこと。






あのあと。数時間経って父から電話がかかってきた。ちなみに私は一言も父と喋っておらず、またもや全てバルが話をつけた。結果、彼らに与えられたのは、こんな3か条だけでした。
・・・おかしくないかなぁ。



「なんや急いどったみたいやで。俺が最初に電話で喋ったときは会社に遅刻しそうやからー言うて急いで切ったし、んで今かかってきた電話ではいかにも職場みたいな雰囲気やったし」
「せやからこんなにざっくりまとめたんやな」
「ええやん、あとはもう自分らルールで」
「そうやん、ルールは自分らで作るもんやで」
「あ、それかっこええな!」
「せやろ?お前も使ってええわしゃーないから」
「え、ほんまに?」
・・・ポテトチップス食いながらかっこつけてんじゃねぇよ。
目ぇキラキラさせながら喜んでんじゃねぇよ。
そもそもそんなかっこよくねぇよ。
「ほなまずはメシ誰が作るん?」
「順番にしとく?ちゃんに毎日作らせても、1人前と4人前やと結構勝手も変わって大変やろし」
「や、言うとくけど俺無理やぞそういうの」
「せやなーユウくんは無理やな」
「俺もいやや」
「せやなーバルくんも料理あんまやりたがらんもんな。ほな俺とちゃんの交代制にしよか」
「掃除は?」
「それぞれの部屋は勝手にやるとして、こういう場所やろ?リビングとかの」
「あいつにやらしといたらええんちゃうの」
「あかんよーそれやとちゃんの負担ばっかやん。俺ら居候やねんからちょっとはやらな」
「ほなお前との交代制にせぇよ」
「そうやんけ、そうすればあいつの負担も半分や」
「じゃあ俺とちゃんの交代制な。そうするとして・・・ほな洗濯は」
「洗濯は俺できるで」
「せや、バル洗濯もん干すん上手よな」
「おん」
「ユウくんは?」
「俺洗濯とかしたことないやん。無理無理」
「あーそかそか。ほな洗濯は俺とバルくんとちゃんの交代制な」
「や、でもあいつ洗濯一緒でええの?」
「あー・・・たしかに嫌がるかもな、女の子やし」
「ほんならもうあいつに全部やらせたらええやん、俺らはだって自分のパンツとかあいつに見られてもなんとも思わんやろ?」





「長男ユウ、退去命令」





結論、こいつとは一緒に暮らせない。





「はぁ!?おま、なんっでやねん!!」
「なんでかもわかんない時点で無理!!」
「ちゃうねんちゃん、ユウくんずっとこんな感じやからもうどうしようもないねん!」
「チパはお人よし過ぎるんだよ!さっきから全部押し付けられてることに気付け!!」
「でもコレいつもやねん!!」
「どんだけ可哀想なんだよアンタ!!」
「お前こんくらいのことでいちいち追い出しとったらあかん。人間気付いたら一人になっとるもんやで?」
「もともと一人だったのこの家で私は・・・!」
「そんなん言うなや寂しい女やな・・・嫁ぎ遅れた年増女みたいやぞ」
「高校生だよ!」
「孤独は辛いぞお前、お前が思てる以上に」
「なんか重い」
「そんなつっぱんなってお前」
「つっぱってねぇよつっこんでんだよ」
「や、でも!こんなけつっこんでくれるってことは、距離縮まったってことやんな!?」
「どんなポジティブだ!」
「一度会ったら友達で毎日会ったら兄弟だ!っていう歌知っとる?俺らこのまんまやったら兄弟になれんねやで!それなら仲良くしたほうが楽しいやん!」
「私らはいつまで経っても従兄妹のままだよ!!」



と、ボケの連発に振り回されて最早ユウの退去命令すら忘れかけていた、そのとき。





ピンポーン





ドアチャイムが鳴った。









(06/18)