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「うっそぉ」とマルとタツさんの声が重なった。 学校、教室、HR前。私の隣の席がマルで、その前の席がタツさんだ。 「嘘ならよかったのにね・・・」 「え、ほんまに?で、そんなよぉ知らん男3人と一緒暮らすの?」 マルは身を乗り出して思いっきり眉をひそめながらそう言う。たしかにそんな話、常識じゃ通用しないだろう。 一方タツさんは椅子に横向きに座って私の机に頬杖をつきながら、黙って私とマルの会話を聞いていた。 「いやでも従兄妹って話だし・・・」 「だってそれがほんまにほんまなんかわからんわけやん?あのーなんか、戸籍とかで調べてみたほうがええんちゃうの?役所行って」 「んー・・・」 正直、それは考え付かない話でもなかった。勘当されて家を出たとは言え、この国から戸籍がなくなることはない。インディ・ジョーンズよろしく大冒険するような男でも、息子たちの出生届を出さないことはおそらくないだろうから、彼ら三兄弟にも戸籍はあるはず。そもそも転居してきたのなら、戸籍を移す必要だってあるかもしれないわけで。そういう意味で、彼らが本当に親戚であるのか調べることはそう難しくはない。 ただ。ただねぇ・・・。 「めんどくさいんやろ、」 タツさんがずばり言うように、そう、めんどくさいのだった。うちから市役所まではバスで50分かかる。 「まぁねーめんどくさい・・・っちゃ、めんどくさいよねー・・・」 「いやめんどくさいとかちゃうやん!だって危なくないん?赤の他人やとしたらさぁ、しかも1人ちゃうで3人やで?何かあったらどないしはるつもりやの」 「でも昨日来て普通に寝泊りしてなんもなかったんやろ?泥棒とかやったらもう行動起こしてもおかしくないやん。それがなかったっちゅーことはさ、やっぱほんまに悪い人たちやないんやないの?」 「多少時間おいてのこと油断させてからなんかしよるかもわからんやん!」 「でもなー、やで?そんなに抜けとるような子ちゃうやんか。それに隠すもんちゃんと隠してあんねやろ?実印とか通帳とか」 「それはもう、絶対私とお父さんしか開けられない金庫にしまってある」 「金目のもん狙いとは限らんやんか」 「え、下着?」 「そんな手のこんだ下着泥棒はおらんやろー・・・割に合わんやん、そこまでしての下着だけとか」 「どーゆー意味合い?ねぇタツさんそれどーゆー意味合い?」 「いやがどうとかちゃうで?だからー、例えばーこの学校の女子寮とかにそうやって潜入すればさ、何百人分の下着盗めるわけやんか、選び放題取り放題やんか。でも一人分の下着しかないねんで?いうても、・・・え、ところでどんくらい下着持っとんの?」 「いらねぇだろその情報は」 論理的に話しているかと思いきや、結局軽いセクハラだった。 「べつにケチるほどの情報でもないやんかー・・・つまらんなー・・・」 「私の下着情報知ってもべつに面白くはなんないでしょ」 「や、面白くもなるで。月曜日は何色とかー、勝負の日は何柄とかー」 そんなことを把握してどうするつもりなんだろう。・・・・・・タツさん、下着フェチ? 「・・・・・・まぁつまりはー、わざわざの家を狙う必要は全くないってことやな?たつよしが言いたいんは」 不毛な会話をぶった切ってマルがそう言うと、タツさんも頷いた。 「そうそう。しかものオトンとそいつらは話が合ってんねやろ?そんなら別に、そこまで警戒することないんちゃうかなーって。思って。」 「・・・そうだよねー・・・」 結局、それこそ役所なんかに行くつもりがなければ現状維持となるのは必然なのだった。 そもそもたった1日過ごしただけとはいえ、彼ら三兄弟、悪気と悪意はたっぷりあるけど(特にユウとバル)、悪いことができるようなタイプとは思えない(特にチパ)。 いざとなったら亮とヒロもいるしな。ヒロはともかく、亮は番犬ぐらいの働きはしてくれるだろう。ドーベルマン的な。 「・・・・・ドーベルマンはちょっとかっこよすぎるな。」 呟くと、マルとタツさんは同時に首をかしげた。ちょっと面白かった。 (07/11) |