村上先生は私とチパがコーヒーを持ってリビングに戻る頃にはなぜか場の空気に完全に馴染んでいた。
ってゆーかなんか、このひとたち幼馴染かなにかなのか?
そう思うくらいに。



「おー本人来たやん本人!」
「つかお前、学校で男とばっか仲良くしとんねやて?」
「え!?そうなん!?」
「はぁ!?え、そんなこと・・・いや、先生!村上先生!?なに言ったんですか!」
「いや、そんな俺べつにそこまでは言うてへんやろ!」
「でもあれやん、丸山とか大田とかなんとかいう連中とばっか」
「大倉や大倉」
「大倉か!そんな奴らといっつもつるんどんねやろ?」
「せやからそいつらとおることが多いってだけで、女の子の友達かておるって俺言うたやんか」
「でも割合的に少ないんちゃうか?」
「え、そ・・・そうなん?」
「そうやんけ本人に聞いたら早いわ!」
「いやべつに、多くはないけど・・・」
「せやろ!」
「え、大丈夫なん!?体育の時間二人一組になるときに誰もペア組んでくれんかったりとか、してない!?」
「そうやでー男子とつるんでばっかおる女子はたいがいイジメやシカト攻撃にあうねん」
「ドラマの見すぎだ!普通に過ごしてるしペアになってくれる子だっているし!!」
「でもイジメとかって絶対本人は否定するやんか、こういう空気で」
「考えすぎだよ!!」
「今お前うわばき何足目や」
「1足目!!入学したときからずっと同じうわばき履いてるから!別に隠されたりしてないから!!」


ついでに言えば教科書をびりびりに破かれたことも体操着をボロボロにされたこともない。もちろんない。
ある意味これも言いがかりだよな・・・と思っていると、村上先生が気遣わしげに私を見ていた。
っつーかこんな心配そうな村上先生の目初めて見たわ。


「いや、ないとは思うけど、」
「ないんですよ?」
「なんかあったらすぐ俺に言えよ?」
「ないんですってば!!先生わかるでしょ!自分のクラスそんな殺伐としてないでしょう!?」
むしろわかっていてほしい。
「いやわからんぞ、裏でやるから女子は」
「そうやんな、だから怖いねんもんな」
「せや、よぉ注意して見とけや」
「そんなもんわかっとるわ」
「ほんと要らない。ほんと要らないこの会話」








どうにかイジメ疑惑を払拭した頃には、市役所から夕方6時に流れるチャイムが空に響いていた。
・・・え、ってことは今6時?


「先生家庭訪問は!?」
「今しとるやんけ」
「ちがいます次のおうちとか!だってもう6時ですよ!」
村上先生が来たのは4時半。
・・・・・・1時間半もなにしてんの私たち・・・・・・。
「大丈夫やて、今日・・・っつかお前んちで家庭訪問ラストやから。あとはまぁ一旦学校戻って仕事するつもりやったけど、そんなん明日したらええし」
「あ、そうなんですか・・・」
ちょっと安心。
も、もちろんつかの間。


「ならメシ食ってくか?せっかくやから」



ちょっと待って。
なんかこれもう何回も言ってていい加減パターンに飽きてきちゃったとか思われたらと考えるとちょっと怖いけど、あえて言う。





ここ、誰んちだよ。








(08/08)