「よぉ来た!よぉこのタイミングで来た!」
「内お前どうした!最高!!」
「えっ最高?さいこ・・・イ、イェーーーーイ!!」


ワケわからんのに乗っかんな。


「おぉ亮!」
「お前も来たか!お前も最高や!」
玄関まで駆けつけてくれたユウくんバルくんはびっくりするくらいのハイテンションで俺と内の背中や肩をバシバシ叩きながら迎えてくれた。



ちら、と視線を落とす。ピーのブーツ。
「・・・やっぱ来てます?山下」
俺がそう尋ねると、バルくんの表情が露骨に抜け落ちた。
「えーーーと山下っつーのはなんかこう、綺麗な顔立ちで、」
「ハイ」
「ここんちのお向かいさんで、」
「ハイ」
「鼻にかかった聞き取りにくーい声しとって、」
「・・・まぁ、ハイ」
「ボソっとしれっと性格悪い男のことか?」
「・・・・・・」
さすがにハイって言えへんし。
え、つーかなんやねん・・・険悪?
・・・いや、でもバルくんたちとピーは相性悪そうやな、考えてみれば。


前の話とかが会話文のみやったのはたぶんこういう語り部できる俺みたいな人間がおらんかったからやな。
まぁこれはこっちの話やけど。


・・・にしても、俺らが来るまでどんな会話しとったんやろ。
「あ、そうそうピーちゃん来とんねやろ!?なんで!?」
「身辺調査や」
「あいつは興信所の人間なんか」


「大学の帰りって俺言いませんでしたっけ?」


「・・・・・・」
「・・・・・・」
出た、みたいな顔でユウくんとバルくんは黙った。二人の後ろにはもちろんピーが立っていて、さらにその後ろでチパがリビングからめっちゃ困った顔を覗かせている。まぁ、あいつにはキツかったやろなこの空間は。
「・・・あーそういや言うとったなぁ大学の帰りとかなんとか」
「全っっ然興味ないから聞き流してもうたな」
「ちなみに法学部ですけど」
「聞いてへんわ!!!」
「それがなんじゃ!!エリートアピールか!!」
「エリートにはこれからなるところですよ。司法試験受かってからが本番でしょ」
「てっめ・・・」


・・・おお、重い。
そんな重さに気付きもせず「あ!ピーちゃんや久しぶりーーー」と手を振る内にピーはにこっと笑って「うーちー久しぶりー。亮ちゃんも久々」と答える。
「おう、久々・・・」
俺もとりあえずそう返すものの、真正面に立っとる思いっきり不愉快そうな顔をした二人の手前、どうにも尻すぼみ。
「ずいぶんアレやな、態度違うもんやなぁ」
「やっぱ幼馴染には甘い顔すんねや」
「そりゃそうでしょ、自分の中での順位が違います。二人ははっきり言ってランク外なんで」
「・・・っだからそういうことは口に出して言うことちゃうやろさっきから!!」
「で、亮ちゃんたちはさぁ、何高校サボってんの?」
「ランク外だからって無視か!!!」
「今日創立記念日でガッコお休みやねん」
「お前もか内!!お前も無視すんのか!!」
「ちゃうねんゴメン二人とも、この二人悪気全くないから!」
「お前の学校は年に何回創立記念日があるんだよ。前もそう言ってサボったの知ってるよ俺」
「え、なんで知っとんの!?」
「内のお母さんが俺の母ちゃんに喋ってたから」
「うーわーばれたー!どうしよう亮ちゃんバレとった!」
それどころやないやろバルくんユウくんの顔を見ろ。
そもそも制服着とる時点でバレとるわアホ。



「っつーかチパ!チパ何しとんねんお前そんなとこ隠れて!」
ユウくんが吠えるように言った。チパは首を横に振る。
「だってなんか空気が重たいから!俺にはツライねん!」
「ええから来い!こんなときのための兄弟や!」とバルくん。兄弟が結束せなあかんぐらいピーはあかんのか・・・。
「それならみんながリビング来たらええやん!そんな玄関でずーっと喋っとくん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
チパの言葉に顔を見合わせたユウくんとバルくんをちらっと見ることもせず、
「あのひとが一番ちゃんと会話できるんだね」
ピーがまた余計なことを言った。
「なんやねんお前ぇ!!」
「いやただの部外者の感想ですけど」
「表出るかコルァ」
「今からリビング向かうんじゃなかったの?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「悪気はないねん・・・」


「そんじゃー改めてーおっじゃまっしまーす!」


「・・・・・」

お前、すげぇな。








(09/21)