ミカン談義からこっそり抜け出して洗面所で手を洗っていると、やっぱり抜け出してきたらしい亮がやってきた。



「・・・ずっとこうやで、さっきから」
「マジで?大変だったね、帰ればよかったのに」
「内が帰りたがらんやんか」
「あそっか。地味に甘いよね亮ってヒロに」
「せやからお前にメール送ったのにお前なかなか帰ってこぉへんし」
「私そんな学校サボれないんだよ、真面目だから」
「心折れそうやったわ俺」
「はいはい、ご苦労さま」



キュっと水を止めると、亮が棚からタオルを出してくれた。ほんと、トモといい亮といい、みんな我が家のこと把握しすぎだよな・・・いいんだけどさ。


「ありがと」
「どうすんの、アレ。あいつら完全に互いのこと大っ嫌いやんか」
「・・・んー・・・」



ある意味うまくやれてるような気はするんだけど、それ言ってもたぶん本人たち不本意だろうしな。



「いや、山下くんがちゃんのこと心配しとんのは俺らにもわかるんやけどな?でも彼なんか言い方きつめやんか、クールやし」
「でもそういうキャラクターなんだよねー・・・普段は悪気ないし」
「今は悪気しかないけどなあいつも」
「嫌いなのかねぇ、やっぱ」
「そこまで嫌われるようなことしてへんよ俺ら。相性の問題なんかな」
「かもねー・・・」



・・・・・・、ってかさ、



「・・・またいつの間にかいるパターンかチパ・・・」
「うわびっくりしたほんまや!お前いつの間におってん!!」
「この物語の中での自分の存在感のなさをどう生かすか考えてみてん、俺なりに」
「いやでもそっち側はどうかと思うで。もっとお前表立ったアピールせぇよ。俺も人のことは言われへんけどさぁ」



確かにどっちも存在感薄めだけど、ここ何話か。でも悪目立ちするよりはいいんじゃないかとも思うわけで。まぁいいんだけど、自己の個別化をどう図るかなんてそのひと次第だし。
「・・・っつーかどうしたのチパ、そんなにリビングはしんどかった?」
そう尋ねると、「ううん」と首を横に振る。



「ずっとバルくんたちがミカンの話しとるから、内が「ミカン食べたくなった!」やて。ある?」



「・・・ない、けどさ」



ヒロのキャラクターはそこでいいんだろうか。










(01/09)