産まれたときのことを覚えている人間がいたら是非お目にかかりたいところだが、記憶はなくても その時 があったことは紛れもない真実。

そんなわけでと俺は同じ病院で産まれた。ちなみに俺のが2日先に生まれた。
親同士の仲がいいせいでお誕生日会なんかは必ず合同でやったし、アルバムを見ればと俺が色違いでおそろいの子供服を着ていたりもした。双子は言いすぎにしても、もう兄妹のような扱いで(もしかして姉弟かもしれない)(まぁそりゃないか)、幼稚園もわざわざ同じとこ選んで入れたらしい、近所やから区画として小中学校は必然的に同じ。

もちろん仲が良かったのは親だけかといえば決してそんなことはなく、俺とはそりゃあもう仲が良かった。
幼稚園の後は必ずどちらかの家に行き、片方が眠いと言えばもう片方は眠くなくても二人で昼寝、トイレすら一緒に行こうとして親や幼稚園の先生なんかに止められた。


俺の中では特別で、それはもう必然というか絶対で。
意識することはなくても、それは恋愛感情以外の何物でもなくて。
ただ が好き だということが俺の日常の当たり前だったから、いつからなんてわからない。
わからないし、だって多分気付かない  それが当たり前なんだから。
だけど それでもいい。
がほしいとか、思ったことはない。だって 望まなくてもは俺の傍にいたから  それもまた、当たり前だったのだから。

そんな俺は、が笑ってればそれで満足するような子供だった。

あれから年がいくつも去っては来て、来ては去って、俺たちは今高校2年生の冬を迎えようとしている。
高校に進学して ( これまた同じ学校   だけど狙ったわけでは決してない、断じてない)、俺とは相変わらずで、俺には2年間で5人の彼女ができた。

のことが好きなのを自覚していながら 他の女の子と付き合った理由。
の反応が見たかった。に嫉妬してもらいたかった。これだけだ。
「彼女ができた」と言ったら、はなんて言うだろう、なんて。


ただ、得られた解答は、「 マジで?  へぇー・・・   おめでと。よかったね! 」。これだけ。
無表情、驚いた顔、それからあの 笑顔 。
付き合うことになった相手の名前すら、は尋ねなかった。
そんなもんか、と落胆して。
だけど、なんとなくそんな対応は予想できていたのも事実だった。

そんなんだから、基本的に破局は早い。

彼女と別れてからと話すと、何故か安心した。
また別れたのか と呆れた顔をされても、相手の女の子を気遣うようなの態度に逆にこっちが呆れる顔をすることになっても、結局俺は、の傍が一番落ち着けて安らげて、まるで家みたいなものだった。
いつまでもこのままでいい。こういて、変わらず隣に定位置があればいい。

その思いは強くて、

なのに、 もうええやん と、誰かが囁く。






なぁ   、お前は俺のこと見てるんかな。
俺、お前に好きや って伝えてもええんかな。


が笑っていてくれればそれでいい。
が自分のものにならなくたって。

そんなふうに思っていたけれど、だけど、俺は結局 が好きで、好きだから ほしくなる。
笑っていてくれるなら、俺の隣で、俺のすぐ近くで、もっと もっと 笑ってほしい。


の声が好きや
優しいところが好きや
どんくさいところが好きや
ふにゃっとした笑顔が好きや
笑顔に何かを隠そうとしてる、その哀しさも好きや





お前が好きや。



そう 伝えても、いいんかな。





夜が明けていく。試験勉強だとか言いながら俺の部屋にやってきたは、それから1時間後にはこのベッドで眠っていた。どういうことだ。勉強はどうした。

もちろん俺は寝付けないまま、ひとつしかないベッドの中、すぐ隣で寝返りをうつを、少し力を込めて抱き寄せた。
起きろ。そう念じて、だけど   起きるな。そう願う。



目を覚ましたってお前が抱きしめ返してくれないんやったら、    それならせめて  もう少しこのままで。





A.M.4:44 だけど気付きもしないんだろうな、君は朝日に目を瞬かせるから