すき。






なんだろうなぁと、思う。
確信に近い勘で、それは俺の得意分野で、だからきっとこれは確実で。
この子は俺のことがすきなんやろな、と、感じる。






なのに、なんやろ、この一線。


見えない線が、俺とこの子の間に一本、白く細く伸びている。


ドッヂボールの陣地分けをする石灰のラインみたいな、足でかき消せるようなライン。
俺はこっち側、この子はあっち側で、ボールを投げて、投げ返して、繰り返して、だけどそれに当たることだけはないようにしている。受け止めきれなそうな鋭いボールからは身をかわす。けれどそんなボールは滅多に投げられることはない。


近い、のになぁ。
めっちゃ近いのに。






優しいこの子は臆病で、そのラインを越えてはこない。
その臆病さには覚えがある。俺だって、同じくらい臆病や。


だから、そのことに苛々したりはしない。
そのことに寂しさなんて、感じない。






俺には俺ですきな子がおって、






と、もし直接言ったら、たぶんこの子は平気な顔で「うん、」と言うだろう。
驚きも落胆も、その表情を覆う事はないだろう。
もしかしたら「知ってたよ」くらいのことは言ってのけるかもしれない。


あ、今押し隠したな とか、俺はたぶん気付くけど、気付かないふりで受け流す。
そして優しいこの子は、さらにそれに気付くんだろう。それでも何も言わないで。自分の気持ちにそっと、蓋をして。





優しさが強さだとは思わないけど、この子は優しくて、強い。
だからたぶん、強がる。強いからこそ、強がることができる。
弱い人間は、強がる事すら怖がるから。
強がって振舞って、それを相手に信じられて、一人にされるのが怖いから。


だから俺は、強がる事もしないんや。


俺は、弱い人間です。


誰かが傍にいてくれないと、生きていけへん。
それがこの子じゃなくても、もしかしたらそれでもいいのかもしれないけど、今の俺にはこの子がいなくちゃたぶん無理。





面白がって気付かないふりしとるわけやないよ。





いなくなったら嫌やから、
傍におってほしいから、


強がる事もできひんくらい、俺は弱いから。


もうちょっとだけでも傍にいてもらうために、俺はこの子の気持ちに気付かないふりをする。









だから、ラインのあっち側にいてくれてええよ、












お前の引いたラインは、







俺には消されへんから。








(06/06  何にビックリって頼まれてもいない作品を勝手に捧げることがなによりビックリだ。やー・・・すみません・・・放置オッケー!錦戸さんでも大倉さんでもいけるようにしようと思ってたのに読み返してみたら確実大倉さんっぽい。重ね重ねごめん!)