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「・・・・・・親戚かもよ?」 「・・・・・いやいやいやいやいやいや」 2階の喫煙席は8割埋まった状態だった。このドトールコーヒーは大学の真正面ということもあってちらほら見慣れた顔がそこかしこに座っている。でもそんなの気にしたボリュームで喋ってらんないから、ここにいる連中のほとんどに俺の悲劇は聞こえていることだろう。ふん、そんなの関係ないもん。 で、その一連の話を一通り聴いた田口の言葉が、上の「親戚」発言だった。ないだろ、それは。あまりにありえないだろう。まずあの二人、似てないし。 「兄弟じゃないんだから、親戚ってそんな顔似るもんでもないし。たとえばちゃんのお父さんのお兄さんの奥さんの妹の息子、だとしても一応『親戚』のくくりにはなるでしょ?」 「・・・え、ならなくね?」 「でも法事とかで集まるじゃん、それだともう親戚だよ」 「血ぃつながってないじゃんそれ完全に」 「だから似てないんだよ顔が」 そんなポジティブには考えらませんけど。 だけど田口は田口なりに最悪の事態から俺を遠ざけようとしてくれてるのはわかる。 だけど無理矢理だと思う。 ・・・だけど、俺も無理矢理田口をここに引っ張ってきた手前、あんま言えない、そういうの。 「ってかちゃんに聞いてみたらいいじゃん。あのひと嘘はつかなそうだし、その関西弁のひとが本命ならそう正直に言ってビシっとカメのこと斬ってくれると思うよ。断絶。」 「斬られたかねぇんだよ」 「じゃあ今日の件はなかったことにして忘れちゃうとか」 「できるか。どんだけ都合いい脳みそなんだ俺の脳みそは」 「できない?俺ならできるけど」 「うそっ!」 「ウソだけど」 「ウソかよ!!」 やり取り、やり取り。 そうこうしているうちに田口のポケットで携帯が鳴った。 「あれ、ごめんちょっといい?」 「どーぞ」 「もしもし?え、うん、え?カメなら今俺一緒にいるけど。うん、ドトール。え、マジで?じゃあ代わる?」 簡単な会話、から携帯を俺に差し出して「赤西」と一言。 ・・・えー、このタイミングであいつは、やだな。正直やだな。つかあいつと電話とかやだな。テンション低いんだもんいつも電話。 「・・・もしもーし」 やだやだ言っててもどうしようもなくて、田口にかかってきた電話だから勝手に切るわけにもいかず、とりあえず電話を耳に当てた。 『お前何してんの』 なんでそんな偉そうなの。 「何って?」 『携帯、電源切れてんだろ』 「え、は?」 ポケットから自分の携帯を取り出してみる。液晶画面が真っ黒だった。 「・・・・・・・電源っつか、充電切れなんじゃない?」 俺の手元を覗き込みながら田口が言った。 「・・・・・・・充電切れみたーい・・・」 『バーーーカ』 またバカにバカと言われた。本日二度目。 『そんなバカにクイズです。俺の隣には今誰がいるでしょう』 「は?」 あまりに唐突すぎて意味がわからない。 「・・・聖とか?」 『ブ』 「上田」 『ブブ』 せめて「ー」をつけてほしい。「ブー」とか「ブブー」でいいじゃん普通そうじゃん。そんなところまでめんどくさがるんだったらクイズ方式なんてやめてほしい。 「え、誰?」 『』 「はぁっ!?」 思わず立ち上がった。その拍子に倒れそうになったコーヒーカップを田口がすごい反応速度で掴む。・・・今すごかった、ちょっと。 でもそんなところを褒めている余裕はなく、俺は壁際の席から窓際に駆け寄る。 道路を挟んだ真正面にある大学。 門のところで携帯を手にこちらを見上げている赤西と、の姿があった。 (03/17 しかしヒロインの登場頻度の低い話よな。) |