「え、お前いつこの会社辞めるつもりなん?」
「なんでですか私がいつ辞表出しましたか。社長がドラキュラの格好したときですら結局出しておりませんが辞表も」
「いやちゃうやん、寿退社やろ?」
「・・・・・・ですから・・・それはデマで・・・」
「あ、休職か?育児休暇で」
「違いますよ。結婚もしませんし子供もいませんし」
「だってお前その腹」
「これはお正月太りの名残です。何を言わせますか」
「顔は変わってへんやん」
「すぐおなかに出るタイプなんです」
「便秘ちゃう?あれええらしいで、わたしの漢方和漢箋」
「え、今度チェックしてみよ・・・ありがとうございます」
「で、じゃあお前結婚せぇへんの?」
「しませんよ」
「安田だけちゃうで?錦戸とか大倉とかおるやんうちの会社、ええのいっぱいや」
「まだ考えておりませんので、結婚とか」
「お局さんコースまっしぐらやな」
「不吉なことおっしゃいますね・・・社長のツテでいいお見合い相手でもいらっしゃいませんか?」
「どんなんがええの」
「贅沢は言いません。普通の収入普通の生活普通の外見でいいんです」
「って言うやんか、それが実は一番難しいねんな」
「ですよね。存じております。まぁもしもなんか縁談があったら、なんて」
「・・・社長夫人とか興味ある?」
「・・・んー・・・ちょっとハードル高いですねぇ・・・」
「でもその社長な、意外と暮らしぶりは庶民派で」
「あ、高ポイントです」
「ただ美形やねんけど」
「あー・・・またハードル上がりましたね・・・。むしろそんな方いまだに未婚で残ってるんですね。そっちに驚きました」
「今までは会社軌道に乗せんのに精一杯やってん」
「あ、素敵ですね勤勉な感じで」
「アリ?ナシ?」
「アリですよ。そういう方には是非素敵な奥さんを見つけて幸せになっていただきたいですね」
「・・・めっちゃ他人事やん」
「私には似つかわしくありませんからね。恐縮しちゃうんですよ、さすがにそこまでだと」
「親しみやすいと思うで?」
「押せ押せですね。だけどそんな方なら相手も選び放題でしょう」
「そらそうやけど」
「キャバクラなんかでもモテモテで」
「まぁな」
「いいクラブ行ったってちゃんとママさんがお相手してくれて」
「せやな」
「でもね、そういう男の人って絶対愛人作るんですよ」
「作らんわい!!」
「保証できないじゃないですか。たとえばこの状況で私とその方が成婚して、そうしたら横山社長は仲人になるんですよね。それじゃ離婚しづらいです」
「なんで離婚前提で話進めるん」
「とにかく、そんな方私にはもったいなくて。でもお気遣いありがとうございます。失礼いたします」
「・・・・・・何あいつ、わかっとって振っとんの?それとも素で気付いてへんの・・・?」