背中に回された腕、すがりつくように俺の服を掴むその力にときどき驚く。
彼女が本当に俺のことを好きで、俺を必要としてるのがわかる。
たとえ言葉に乗せなくても、伝わってきてしまう。
そのくせ何も言わないで、いじらしい女を気取って、ただ寂しげに俺を見上げる。
言えばいいのに。


「わたしだけにして」
「わたしを選んで」
「他の女と別れて」


そうやって正直に、言えばいいのに。
言ったところでまぁ、選ぶことなんてできないんだけど。













彼に好きなひとがいるのは知っていた。
そのひとがわたしではないことも、わたし以外に「彼女」と呼んでる子じゃないことも。
叶わない恋なんかじゃないはずなのに、彼はそのひとに拒絶されることばかり恐れて踏み出しもしない。
そのくせわたしを、わたしたちを、切り離さない。
どんなに強く掴んでも、どんなに強く想っても、彼はそれを受け止めるだけで、抱きとめるだけで、何も返してはくれない。


「お前だけや」
「好きなのはお前」


そんな言葉が嘘なことくらい、知っている。
知っていたところで結局、信じたふりして頷くことしかできないんだけど。
















世界の中心は、どこだ












(11/11 うまくいかねぇな・・・)