確かにあたしは現実というものが嫌いなのだけれど かといっていつだって妖精飛び交い花咲き誇る桃色空間をうっとりと眺めているなんてことはありえない

(だいいちムーミンは妖精なのだという話を聞いて以来 妖精=ムーミンというイメージはもうあたしの中で鉄板)
(ムーミン飛び交う空間は果たして桃色だろうか)
(この場合咲き誇る花たちはニョロニョロを宛てがうこととする)




















ピンポーン






呼び鈴の音にドアを開ける






そこに立っていたのはずぶ濡れになっている知らない男でした。



(※来客はきちんと確認してからドアを開けましょう)
























とりあえず、



閉めて




「え、  まぁまぁまぁ待って待って待って!!」
「新聞要らないですあたし日本語ワカラナーイカラ」
「喋ってんじゃん日本語!つーか新聞とか違ぇから!」
「喋れるけど読めないんです あとこんな時間に訪ねてくる男は新聞屋じゃなきゃ痴漢です。っておかあさんが言ってました」
「極端すぎっしょそれ!       ・・・・・・つーか、あれ・・・?」




暫定痴漢ははた、と気付いたようにあたしの顔をじーっと見る。




「・・・ナンデスカ、部屋の間違いに気付いたとか(だとしたら遅すぎますが)」
「え、ちょっ、ちょっと待って、え・・・?」
「・・・その挙動不審さを以って痴漢と見なします」
「(理不尽!!!) いやそうじゃなくてー、あの、お前、ピンポン聞こえた・・・?」
「(はぁ?)(お前って) 聞こえましたよだっておにいさん鳴らしたでしょー」
「・・・ちなみに俺背ぇいくつくらいに見える?」
「・・・175程度かしら」
「俺の頭何色してる?」
「焦げ 茶 ?濡れてるから微妙ですよね」





どんな体型してる?どんな目ぇの形してる?





一問一答を何度か繰り返して、暫定痴漢はようやく結論を見つけ出したように パン! と手を叩いた。

























「・・・お前・・・俺のこと見えんのね・・・っ!?」























ハイ閉めたー









あ、あ、あ。
ありえない可能性に気付いてしまったあたしはいつの間にかドアに背中をくっつけて座り込んでいた。





やばい、やばいんじゃないのか、コレ





あのずぶ濡れ男の言う言葉を 痴漢のたわごとだと言って一蹴してしまえないのは

あたしが みえるひと だからだ。













いやいやいやいやいや
まっさかぁ。





小学生の頃なんかは普通に見えていた、まぁ いわゆる  おばけ  ですけども
歳を重ねるうちにだんだんと見えなくなってきていて、20歳の今ではすっかり普通の目。




だったのに ?












ああ  だけど だけど



こういう不意打ちってほんとやめてほしい




















そうだよだってなんであのひとずぶ濡れなの!?(今日晴れてたのに!今も月が綺麗に見えてるのに!!)


















ちょっと待って閉めないでー!せっかく!せっかく出会えたんじゃん!!



「望んだわけじゃないですー嫌だほんと嫌だ」



このマンションの部屋いっこいっこに全部ピンポンして!でも出たのお前だけで!!



「それ迷惑行為ですそしてあたしだってまさか人外だとは思わなかったんですー」



んーで、考えてみたら俺幽霊だから俺のピンポンって普通のひとには聞こえねーのな!



「あーあーあーあーあーあ」



聞け!聞けって!でもお前聞こえたじゃん!?出てくれたじゃん!?



「あーあーあーあーあーあーあーあー」



会話とかしたのマジすっげ久しぶりで!めちゃくちゃ嬉しいのね今俺!



「・・・・・・へぇー」



絶対!ぜっっっっったい何にもしないから!入れてくんない・・・!?頼む!


























拒否権は、あります。拒否権を行使する権利もあたしにあります。
拒否するべきだ。しなきゃまずい。




ああ、だけど、ちくしょう、どうしよう。






だって、顔を上げれば












「・・・・・・まぁ俺実体ないしドアくらい普通に抜けられるんだけど、さ 」




「・・・結構さっきから勝手に入ってたじゃねーか!!!」









(03/13 名前が・・・。あ、言い忘れですがこれ仁です)