このまま彼の腕の中にいたら溺死してしまうかもしれない。
そんなことはありえないのだけど、確実にじわじわとあたしの服に染みこんでいく水。冷たい冷たい水。そのうちあたしの服まで水浸しになって、ポタリポタリ、フローリングに水溜り。


寒いとは感じなかった。
初冬に水浸し。それでも、何も感じなかった。寒さも恐怖も焦燥も、何一つ。まるで心が抜け落ちてしまったようだ。




心の場所は、胸だろうか、脳だろうか。
よく言われることだ。心は目には見えない。だけど確かにあるのだ。








じゃあ、『彼』は?








目には見えない。だけど確かに、




















『お前が一番あいつの存在認めとるんやないか』
















確かに  いる のに?


































『会話とかしたのマジすっげ久しぶりで!めちゃくちゃ嬉しいのね今俺!』




















『こうやってさー、誰かと向き合って話せてるってゆーの?』



















『生きててよかったーとか思うわけ、死んでんのに』



































ねぇ、
いけないことだったのかな?
























「 ずっと」




























「俺のこと見つけて」





















「フレンチトースト作って」





















「一緒に眠って」





















「俺の声 聞いて」



































「なぁ、 」



























「ずっといてよ、」





















「   一緒に、ずっと」







































でも『彼』は、幸せになれる。



20年間彷徨い続けてきた、
誰にも聞こえないチャイムを鳴らし続けてきた、
ずぶ濡れになる代わり、涙を流すことができない『彼』が


















それなら、















・・・・・・ そ れ な ら ?
















『死んでもええの?』




























(01/20 久しぶりすぎる)