・・・・・・眠い、

呟いた声は大音量の音楽にかき消されて、1メートルぐらいの近さにいる女にも聞こえなかったらしい。
てゆーかドンドンドンドンやかましいねん、こんなん音楽と違う。





女と親しげに喋っている元木は中学の時からの付き合いで、こういう・・・いわゆる夜遊び?に出る場所なんかはこいつの影響がでかい(例えばこのクラブとか)。それなりの仲良しさん。

そんな元木に「帰る」だけ言ってクラブの出口に向かうと、元木、小走りで追いかけてきた。

「な、お前ホンマ帰るん?」
「おん、 あかん  もう俺 眠い」
「ショウコちゃんお前のことずっと気にしとったやんか」
ショウコちゃん誰やねん。
聞き返すと同時に出口に到着。ドアを開けると外の空気が冷たくて でも眠気は覚めない。
「今俺とずっと喋っとった子いてるやろ?さっき紹介したやんか」
「知らん。あかんて俺眠いもん」
「すばる今彼女おらんがな。可愛いやろショウコちゃん」

可愛い、ねぇ。
正直、  まぁ 見てませんでした。


だって関心ひかれんねんもん。こう、顔合わせなくたって ええな と思う子は、まぁ、いてるし。そういう子はなんなんやろ、オーラ?雰囲気?そういうのから違う。と思う。


「贅沢言いなやー、ショウコちゃんおっぱいでかいで?お前おっぱい大好きやろ?ええやん」
「そ れ は お 前 や ろ」
まぁそれは冗談として、と元木が笑う。
「ええんかホンマにー?」
元木ってこんなにしつこかったか?



それには答えずひらひらっと手を振って点滅しだした信号の横断歩道を渡り出す。元木はなんてかボヤきながらももう追ってこない。




ち 、 よ 、 こ 、 れ 、 い 、 と




足取りに合わせて呟く。

小学生か、と自分で思って、即やめた。
しぶたにくんあなた小学生ですか、そう言ったあの子を思い出した。
「元木ぃー!」
くるっと方向転換して、横断歩道の向こう岸にいる元木に大声で尋ねる。
「ショウコちゃんー、パンツの色アイボリーなんかなぁー!」
ハァ!?と素っ頓狂な声をあげて振り返った元木は、だけどさすが俺の友達なだけに、すぐに破顔してノッてきた。
「いやぁーアイボリーはないやろぉー!」
やっぱしー?とげらげらと笑って、また手を振って歩き出した。
で、10歩歩いて気付く。
元木は何か勘違いしたんじゃなかろうか。俺は別にアイボリーのパンツ履いてる女が好みなワケちゃうぞ!
しかし訂正しようにももう元木はクラブの厚い厚いドアの向こう。あまりに遅い。





・・・・・・あー・・・もう、ええわ うん。








(3/3 明後日学校行ったらとりあえずあの子に会いに行ってみよ)