来ないなら来ないでいいけど、



来てくれたら、うれしい。



かもね。




















最近続く相変わらずの曇天を見上げて、20分。



「お、おった」



しぶたにくんがひょっこりと、当たり前のように現れた。



「はよ」



座ったままあたしは言う。今日も、風が強いので。



その隣にぺたんと座り込んで、しぶたにくん、「今日何色?」あっさり聞いた。



「・・・・・・」



忘れといてほしかったなぁ。



ちなみに今日は・・・いや、言わないけど。



沈黙のあたしにしぶたにくんはあくびをひとつこぼして、この話題のスルーを認めた。



「・・・今日コーヒーは?」
「え?」
「前置いてったやん。ありがたくいただきましたけど」
「あー・・・そか」
「問題あった?」
「や、ない、大丈夫。そう、忘れてきたなーて思っとったから。無駄にならんでよかった」
「取りにくるかと思ってんけど、2時間待っても来ぃひんから」
「2時間も待ったん!?」
「嘘に決まっとるやん。見つけて即行パクったわ」
「・・・あっそー・・・」
「で、今日はないんか」
「え、ないよ」
「あっそ。ついてへんなー」



あくびをもうひとつ。



「眠いん?」
「昨日遅かって」
「あぁ、夜遊びや」
「アホ、遅くまで勉強しとったんや」
「嘘やん」
「嘘やけど」



次にこぼれたのは、あくびではなくて小さな笑い声。



「今日担任休みやろ」
「え、なんで知っとんの?教室おらんかったのに朝」
「車がない」
「そうやねんなんか風邪引いたとか言うて休み」
「大人のくせに弱いな」
「大人のくせに弱いね」
「なっさけない」
「・・・あたし先生が何乗っとるかとか全然知らんかったわ」
「興味ナシ?」
「全然ナシ」
「・・・あの担任見た目アレやけど車ハデやねん。真っ青なスポーツカー」
「うっそ。似合わん」
「せやから覚わんねん。屋上から駐車場見えるし」



立ち上がってフェンスに歩いていくしぶたにくんが、あたしに手招きをした。



「ほら、こっから」
「・・・あ、ほんまや」
「あんま覗き込むとたまに見つかりそうになるから気ぃつけてな」
「はーい」
「・・・・・・あ、そうそうちょうどこんな青やねん、あいつの車」
「どんな?どれと比べて?」
「せやからこれ」



指差したのは、あたしのスカートの中だった。
「今日風強いからなー」と悪びれもせずに言う。



「でもこんな色のパンツは俺も初めて見るわ。水色とかやないんやな、もーきっちりブルーなんやな」
「いやもうほんま、うるさいですよ」
「悪いとは言うてへんやん」
「よかないやろ?」
「悪かないわ」



そう言って、したぶにくんはドアへと歩き出す。



「戻るん?帰るん?」
「コンビニ。待っとけ」
「コーヒー買いに行くん?」
「せや。5分で戻ってくるから」
「気をつけるんやでーコンビニで補導されへんように」
「アホ常連や俺はあそこの」



言い残し、ドアが閉まった。





同時に、全力自己嫌悪。



風強いの知ってたのに・・・。しかもこんなぱっきりしたブルーって。やっぱ毛糸パンツ履くべきなんかなぁ、と呟くけど誰も肯定も否定もするはずはなく、あっという間に5分が経った。





「ただいまー」



宣言どおりに戻ってきたしぶたにくんがあたしに差し出したのは、バニラアイス。



「・・・ありがとうやけどこれ外で食べんの寒いわ」
「ええやん、似合うから」
「似合うの?あたしに?」
「似合うよ」



カパっとアイスのふたを外して、しぶたにくん。





「ほら、バニラアイスってアイボリー色やん」





やっぱりアイボリー派らしかった。












(09/28 アイボリーシリーズ続編お待ち!けして甘酸っぱくはなかったよごめんよくぅちゃん・・・!)