目が覚めたときは、そうじゃなかったんだ。
山ピーと亮ちゃんと仁と出かける約束してて楽しみだったし、目覚ましの音じゃなく自然に目を覚まして、天気もよくて、気持ちいい朝だった。
でもなんだろう、時間が経つうちに少しずつ、背中が曲がるみたいに気持ちが翳っていって、
朝ごはんを食べながら見た悪いニュースがいけなかったかなとかこんなことならもっと眠っていればよかったとか、そんな風にソファの上で考え出したらいつの間にか体育座り。大嫌いなネガティブ思考が止まらなくなる。
心の中がテレビの砂嵐みたいにザーザーうるさくて、何も見えないし何がしたいのかも何を思ってるのかもわからないし、だけどテレビみたいに消すこともできなくて、裸足の足の甲をガリガリひっかいた。痛みより手の爪に伝わる感触がどこか気持ちよかったけど、足の甲には赤いみみず腫れがどんどん重なっていってそれに比例するようにぐちゃぐちゃになっていく気持ちはもうどうしようもなくて、傍らに置いてあった携帯電話を掴んだ。
キャンセルの電話は仁にかけようと思った。亮ちゃんだったら100パーセント気付かれるし、山ピーにはうっかり口を滑らせてしまいそうな自分がいる。だから仁がよかった。仁が絶対に気付かないとは思わないけど、仁なら放っておいてくれる。たとえ嘘を見破っても、そのまま騙されたふりをしてくれるから。



だって今は、嫌なんだよ。
誰にも会いたくない。誰かに近づかせるのも嫌だし、呆れられたり慰められたり怒られたりも、したくない。



ちょっと前にヒナちゃんはあたしに『自分が一人やと思うな』って言ってくれたけど、そうじゃない。一人じゃないことなんてもうわかった。一人じゃないんだ、あたしは、どうしても。



だから、一人になりたいんだよ。



仁との電話を終えて、携帯の電源を落とす。いつもどおりを振舞うために作った声にも気付いた様子だったけど、やっぱり仁は騙されてくれた。距離をとってくれるんだ。悪い意味じゃなく、ちゃんと。それがありがたかった。



「・・・何しとんねん・・・」



こんなに天気がいいのに。外にさえ出れば大好きなひとたちがいるのに。それなのに、そんなひとたちとの約束をキャンセルして、こんな部屋で膝を抱えて。いつまでたっても、もうちょっとなのに。そんな自分にうんざりする。嫌いになる。カチカチ時計だけ進んでいくけど、あたしはやっぱりこのまんま。



もう、



泣く。














ピーン



「・・・・・・・・」



ポーーーン。








(01/22 珍しいパターン。)