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(錦山)
そのときポケットの中で携帯が震えた。 つかみ出す。亮ちゃんからだった。 「・・・・・・もしもし」 『あ、ピー?』 「・・・仁と一緒?」 『あぁ、さっき合流して話聞いた。・・・大丈夫?』 「・・・・・・」 亮ちゃんだったら、どうするんだろう。 亮ちゃんだったら、こんなふうにを一人になんてしなかったかな。 『・・・・・・・山下?もしあれやったら、俺がそっち行こか?』 亮ちゃんには、勝てないのかな、俺は。 「・・・・・・やだよ、そんなの」 『あ?』 「ごめん亮ちゃん、俺、・・・のこと好きだからさ」 『・・・・・・』 「一番好きでいたいんだ、のこと。だから、」 『・・・お前一人で、どうにかしたい?』 「・・・うん」 『できるん?』 「・・・まだできてない」 『・・・意地張りたいだけならやめとけよ?のことお前が意地張るための手段にすんな』 「・・・わかってる。絶対、そんなんじゃない。俺はが好きだから、俺が、のそばにいたい」 『・・・・・・それでどうにもできひんかったら、俺お前んこと怒るぞ?』 「・・・・・・」 『俺かてが大事やねんから、お前が万が一のこともっと傷つけたり落としたりしたら、俺ほんまにお前に対して腹立つし、最悪ぶっ飛ばすし』 「・・・うん」 『それでも、一人でどうにかする?』 「・・・・・・絶対、する」 『・・・じゃあ、任せる』 「・・・ありがとね、亮ちゃん」 電話を切った。 大丈夫、意地なんかじゃない。だけど全然ないといえば嘘になる。本当は嫉妬だってしたんだ、迷いもせずに『自分が行こうか』と言った亮ちゃんに。お前に無理なら俺がなんとかするって言われた気がして、悔しくて。そりゃ亮ちゃんのほうがと長く一緒にいる分、こんなときにどうするのかわかっているのかもしれない。だって亮ちゃんのほうが安心して気持ち吐き出せるかもしれない。 だけどそれじゃ嫌なんだよ。俺は亮ちゃんの代わりじゃない。俺は、の中のたった一人の山下智久でいたい。 携帯電話のストラップを見つめる。の携帯にも、俺がこの間プレゼントしたお揃いのストラップがついている。勝手にお揃いにしたけど、は嫌がったりしなかったし、にこにこ笑っていた。 笑ってたんだ。喜んでくれたんだ。 そんな彼女が、一人でいたいはずなんて、ない。 『要らない』 『帰って』 『一人がいい』 その言葉と一緒に発せられる『助けて』っていうメッセージが、わかんなかったのかよ、俺は。 「・・・っしゃ」 立ち上がって、もう一度チャイムを押した。 明日やろうは馬鹿野郎。 今じゃなきゃ、だめなんだ。 (01/22 いいとこどり錦戸さん。) |