こんな立派なデパート来たのっていつぶりやろ。


妙にキラキラした店内、壁に貼りついている案内図を見れば目的地の婦人服売り場は4階と5階と6階。3フロアがまるごと婦人服売り場って、そんなに何を売っとんねやろ。そもそも俺は何を買いに来たんやっけ?あぁ、おかんの誕生日プレゼントや。なんにしよう。




平日の高級老舗デパートはもっとおばちゃんが多いんかなと思ってたけどそんなに混みあってはいない。みんな地下におんのかな。ちょうどデパ地下のタイムセールとかやっとんのかもな。デパ地下にタイムセールとかあるんかな。デパ地下いうたら今日はテレビでよう見るような駅弁フェアみたいなイベントやってへんのかな、いっぺん行ってみたいな。


そんなことを考えながら半円型のエレベーターホールにまで吊るされている小ぶりのシャンデリアを見上げて、ちょっとうんざりした。キラキラキラキラ。何が言いたいんやお前。
ポーン、とフロアランプがついて、エレベーターが俺のいる1階に到着したことを知らせる。
扉がすーっと開いて、





「こちらのエレベーターは、上へ参ります」





頭を下げている女性が現れた。


・・・今時、エレベーターガールって居るんや・・・。


水色の制服にホテルのベルボーイみたいな帽子をちょこんと乗せてお辞儀していたエレベーターガールがすっと頭を上げる、  目が合った  。




さっき睨んだシャンデリアが落ちてきたんやないかと錯覚するくらい・・・はまぁ言いすぎやけど、まぁとにかくそのぐらいの衝撃に、視界がキラキラキラキラした。





「お乗りになりますか?」
足を進めない俺にエレベーターガールはそう尋ねて、俺は慌ててエレベーターに飛び乗った。



もう誰も乗るな誰も乗るなと念じたのが天に通じたのか、エレベーターは俺とエレベーターガールの二人だけを乗せてその扉を閉めた。



何歳ですか名前なんていうんですかアルバイトですか社員さんですか今日デパ地下で駅弁フェアとかやってないですかこのデパートで俺浮いてませんか、
聞きたいことはいっぱいあったけどそのどれも口に出す前に、彼女が俺に質問をした。





「何階へ参りましょうか?」



















「てっぺんまで!」




















「・・・・・・え?」
「え、今の口に出てた?」
エレベーターガールは笑った。エレベーターは止まったまま。