家から一番近いコンビニは歩いて3分のミニストップ。
次に近いコンビニは歩いて7分のローソン。
次に近いコンビニとなると車で5分のファミリーマート。歩いた事はない。



4日前ファミリーマート。一昨日ファミリマート。昨日ファミリーマート。今日も、ファミリーマート。ここんとこガソリン代も高いのになんでわざわざ車使うんや、何してんねやろ俺、と思いながらも自動ドアの前に立つ。



「いらっしゃいませ」
あのこが微笑んだ。




実際買うもんとか煙草くらいしか特にないし立ち読みは落ち着かんから嫌いやし、そもそも仕事で結構疲れとるから実は早く風呂入って寝たいとか思うんやけど、
5分。
なんとなくやけど、5分は、いたい。



今日もあのこは名札をつけていない。店員なのに。ここそんなユルいんか、まぁ夜中は店長とかあんまおらんしな。そもそもこの夜中の店番はこんな若い女の子で平気なんやろか。コンビニ強盗とか変な奴入ってきたらどうしようもないでこんな子やったら。
そんないらん心配までしてしまうくらいには、あのこは俺の生活の中に組み込まれとった。
長い茶髪は結びもしないで、前髪だけポンパドールみたいにヘアピンで留めてるあのこ。
帰り道にふと寄った、家から3番目に近いこのコンビニで、あのこを見つけた。
それからなんとなく気にかかって、通い詰めること4日目。昨日はあのこは休みやった。でも結構働いとるほうやんな、週に4,5日はおるんやろ?何しとる子なんやろ、学生とか?でも学生で夜中にバイトしとったら学校しんどいやろうしな。


一客がそんなこと直接聞くんもおかしな話やから、全部想像するしかないけど、全部想像してる一客って相当気持ち悪いわな。知ってる。



食いもしないお菓子やパンコーナーで少し立ち止まって、結局ガムだけを持ってレジへ向かう。赤西にちょっと協力したろ、と思ってプラスエックス。絶対関係ないけど。
「いらっしゃいませ」
もう一度そう言って、あのこはピッとバーコードリーダーをガムに押し付ける。105という数字が表示された。
「・・・・・・あ、あと煙草、」
「あ、ハイ」
言い切る前に彼女はくるりと後ろを向いて、煙草の陳列する棚からセブンスターを1個取った。


「セブンスターの・・・ボックス、ですよね」


疑問符のつかない、確信のあるような言葉と微笑み。実際それは正解で。
「、・・・そうです」
わけもわからず、嬉しい。


425円です。はい。1000円からでよろしいですか?いいです。袋は?いらないっす。じゃあテープ失礼しますね。はい。


そんなやりとり、渡された煙草とガムをジャケットのポケットに突っ込んだ。
「お釣り、575円になります」
小銭を渡すときに、ふわっと俺の手を包むあのこの手。
「・・・どーも」
「いってらっしゃい」
「・・・え、」


彼女は頬を赤く染めて「明日も、お待ちしてます」と笑った。


なんやねん、いっそ結婚したい。毎日言ってそれを俺に。そう思うくらい愛しくなって。


あぁ、もう、明日も会いにくるしかなくなるやんか。
















「いってきます」















できれば明日は名札、つけといてほしいな、と思いながら自動ドアをくぐった。