何度か会ったことのあるその記者さんはいっつも俺の話をニコニコ丁寧に聞いてくれる。2年近くのスパンを置いてもう一度会ったときも、「久しぶりだね」と笑う、やっぱりその姿は変わってなかった。



「じゃあ内くんが、復帰して一番うれしかったことは?」
「・・・・・・もっかい会えたこと、かなー・・・」
「あら、誰に?やっぱりファンのみんなとか」



いやいや、あなたにですから。



「・・・なんでもないでーす・・・」
アカンのかな、やっぱこういうことは言うたら。相手は記者さんやし。うかつなこと言えへんよな。いやでもホンマのことやしなぁ・・・。



ずっとやで。ずっとずっと、会いたかった。
表舞台から遠ざかったら、当たり前やけど会うことなんてほとんどなくなって。この記者さんとこの雑誌にエイトやニュースが載るのを見るたびに、あ、あの人にインタビューされたんかなとかうらやましいなとか、思ってばっかで。
募って募って、もし俺が復帰しても彼女が記者やめてたらどうしようとかそんなことまで考えて。



だから今日こうやってもっかい会えたのはめっちゃ嬉しい、んやけど。
もっとなんか、ないんですか。
ちょっと複雑。



そんなこと口に出せるわけもなく、時間は経過。一通りのインタビューを終えて、「ありがとうございました」と彼女はパイプ椅子から立ち上がった。



「あ、・・・」



言葉は飲み込んだ。
だって 待って、って言うても、その後の言葉がないし。
そのまますっと彼女は俺の横を通り抜ける。



あーあ、次の取材、いつやろ。なんてちょっとため息をついたら、



「あ、そうだ内くん、」



彼女の声。勢いよく振り返る。
彼女はこっちを見て、優しくキレイに微笑んだ。





「おかえりなさい。ずっと、待ってたんだよ」





「・・・・・・」
俺を泣かせたいんか。泣くぞコラ。
そう思ったけど、それは泣くための言葉やないと思ったから、「遅いねん」って笑って見せた。
彼女も笑う。それから、今度こそスタジオを出て行った。



「なんやねん、も・・・」
誰も見てないのに、目がかゆいふりして目元を腕でこすった。




















遅かったのは、俺か。














もう待たせたりせぇへんから、ずっと俺の正面に座って笑ってて