久しぶりの休日、天気は晴れ。散歩中に公園で出会ったちっちゃな少年はめっちゃ人懐っこくて、俺はわけがわからんまま、時間を忘れてそいつと一緒に砂場遊びなんかをしております。



「あなたのお名前はなんてゆーんですか?」
「・・・りょーくん」
「りょうくん?」
「りょーくん」

迷子札にはたしかに「亮」の字。
「亮くん・・・!」



そんな偶然もあいまって、ちょっと通りぬけるだけのはずだった公園に、俺はもう30分も滞在中。
俺が来るまで亮くんと遊んでいた少し大きな子供たちは、俺にこの子が懐ききってんのを見て「4時くらいまでそいつ見てて!」と叫んでどこかへ走ってってもうた。
・・・4時まで?今1時やのに? 3時間もですか?
いや、まぁええけど。うん。せっかくの休みをこんなふうに潰すんは悪くない。しかしかわええなこの子、亮くんやし。
・・・ほんでもこの子、どこの子やろ。





「ママは?」
「ママはおでかけ」
「パパは?」
「パパ、いない」
「・・・・・・いない?」
「パパいなーい」



ママは『おでかけ』、でパパは『いない』。って、そーゆーことやんな。
そっかそっか、と頭を撫でたら、照れくさそうに笑った。





砂場の山を3回作って4回壊されて、滑り台を10回以上滑って、二人で砂まみれになって、1をさしていた時計の短針が、4になる頃。



チリンチリン!



自転車のベルの音に亮くんはばっと顔を上げる。俺もつられてそっちを見たら、後ろに子供用の椅子が搭載された完全なるママチャリにまたがった可愛らしい女子高生。そんな短い丈のスカートで自転車なんて乗らんほうがええと思うけどなー・・・なんて思ってたら、彼女は笑顔全開で大きく手を振った。そしてキラキラした目で手を振り返す、亮くん。
・・・あぁそっか。
「お姉ちゃんのお迎えか。よかったなぁ」
そう声をかければ、亮くん、嬉しそうににっこり笑う。その笑顔を見て、あぁここは仲ええ姉弟なんやな、俺も小さい頃たまに姉ちゃんがこうやって迎えに来てくれたなー、と少しノスタルジックな気分を味わわせてもらって。
自転車を降りてカラカラとそれを引きながら公園に入ってきた女子高生は、飛びついた亮くんの頭をぽんぽんと撫でて抱き上げた。
「亮ーただいまぁー!ママ帰ってきたよー!」
やっぱり母親やな、子供抱く姿がサマになって、



・・・・・


・・・・・・・・・・え?



「・・・・・・亮くんの、ママさんですか?」
「え?ハイ、そうですけど」
「・・・・・・女子高生、」



「女子高生だけど亮のママなんですよ、私」



にっこり笑う、女子高生。
亮くんはたしか3歳って言ってたような気がする。じゃあ彼女が高校3年の18歳としても、15歳のときに出産した計算?
「正解です」
何も言ってないのに女子高生はそう言った。それから亮くんをママチャリのうしろに乗っけて、「ほら亮、お兄ちゃんにバイバイしてー」と笑う。素直に手を振る亮くん。
「ほんとにありがとうございました、面倒見てもらっちゃって」


夕陽に照らされながらそういう顔は、やっぱり母親の顔で、とても凛々しくて、とても綺麗だった。
見とれてしまうくらい。


「・・・いや、いや全然!あ、亮くん!また遊ぼうな!」
亮くんは理解してんのかしてへんのか、とにかくうれしそうに笑った。
女子高生も、「よかったね亮!」と微笑んで、あぁ、ええなぁ、と。




















去っていくママチャリの後姿を眺めながら、
頭はもう次のオフはいつだったか
なんて考えていた。















なんなら次はあなたも一緒に遊びませんか?