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「違ったらごめんな」、そう前置きをしてから彼は言った。 「って、俺のこと、好き?」 ドキン、というよりは、ズキン。 見事に言い当てられた本心は、すくいあげられたのではなく貫かれたように痛んだ。 その痛みに怯えた私は「どうだろうね」と否定も肯定もせずにありふれたエスケープを計った。 さて、彼はどう出るだろうか。 とはいっても彼の反応によっては希望が持てる、なんて状況ではない。 だって彼の心はここにはない。 じゃあどこにあるの? あの子のところに。 「わからへんの?」 「・・・・・・うん、わかんない」 つまり、最初からどう転んだってハッピーエンドなんて用意されちゃいないんだ。 それならいっそとバッドエンドに突進する勇気なんてない。 そもそもこの場合のバッドエンドって何よ。 そこらじゅうに溢れている恋愛シュミレーションゲームだったら、 バッドエンドは『告白イベントなしで、友達のまま終わる』だろう。 それのなにがバッドエンド。どこがバッドエンド。 友達で始まって、友達で終わる。 十分じゃん。 できれば好きになってほしい、あわよくば付き合ってほしいなんて、ワガママもたいがいにしろ。 ゆるやかに、なまぬるく、現状維持。 そうやってずっと、 そうやってきたからきっと、 これまで私は彼の隣で笑うことができたし、彼だって笑ってくれていた。 だけどそれも 「・・・・・・そっか」 終わっちゃうのかな、 「それなら」 嫌だな 「・・・・・・私には わかんないけど、でも大倉がそう思うんだったら、」 そうなのかもしれない。 彼の言葉を遮って、そう言って しまった。 途端に私に襲い掛かる、後悔と焦燥と、名前も知らない赤黒い色をした感情。 縋ってしまった。離されそうになった手を、繋ぎとめようとしてしまった。 友達でいいと それで十分だと言って、必死に格好つけていたのに。 それを自身の手で、壊してしまった。 ほんとうはずっとずっとずっとすきで、あんたがあのこのことすきになるまえからすきで、 いつもよゆうかましてうすくほほえんでるあんたに、そうやってなんでもわかってるみたいなたいどとるあんたに、いつだってほんきではらがたっていて、 ひとのこころにつきさすだけつきさして、なのにひきさきもかきみだしもせずに、ぽっかりあいたあなをうめることもせずに、 ほんとにほんとにほんとにはらがたつ。 なんでへいきなかおして、あたしにあのこのことはなせるの。 なんでもうさっさとあのことつきあわないの。 なんで、 なんで私じゃないの。 彼の心の中が全然見えない。 一番近くにいたのに。一番長くいたのに。 私の心は彼に見えてしまったのに、その逆ができない。 動き出せない。 どこへも行けない。 知らないうちに噛み締めていた奥歯が痛い。 もう、どうしようもない。 うつむいた私の目から零れた涙が、床ではなく彼の靴の上に落ちた。 「え、」 肩と後頭部に手を添えて、彼が私を自分の体に押し付けていた。 「 ごめんな」 頭頂部に彼の息がかかる。 一番近くにいたのに。一番長くいたのに。 彼の腕の中に入ったことすら、初めてで。 だけどこれは、彼が私を受け容れてくれたわけではなく、慰めようとする優しさでもない。 彼はただ、泣いている私を見たくなかっただけだ。 「 ごめん 」 苦しそうな声でもう一度そう囁いて、彼は出て行った。
ワースト・エンディング
(07/20 くらい。ほんとくらい。おおくらだけに。たぶん意味わかってもらえない。わかったとしてもおもしろくない。) |