今日を待っていた。



何日も前から今日のことを考え続けて、何度もシュミレーションして。
プレゼントは何にしようか、いつ渡そうか、なんて言おうか。
どうしたら彼女が一番喜んでくれるだろう、ただそれだけを思って。
だから今日になって、目が覚めて窓の外に降る雨を見たときには少し落胆したけれど。
それもいつの間にか雪に変わって、これ以上ない演出となった。







去年のこの日は、俺の部屋で彼女と過ごした。
小さめのサイズのクリスマスケーキ、デリバリーのピザとケーキ、彼女の一番好きなシャンパンを十分に冷やして。
シャンパンマドラーでさらに細かい泡を立てたシャンパンを差し出すと、彼女は嬉しそうに笑った。
それを見て、俺も笑った。
つもり、だったのに。
涙が溢れた。
胸の奥が、痛くなって。
どうしたのとやさしく微笑んで尋ねた彼女には、きっとわかっていたんだろう。
幸せで。幸せなのに。幸せだから。
幸せだからこそ、何かが怖くて。来るはずのない別れすら、怖くなって。
そんなわけないのに。



永遠に好きなのに、なぜそんなことを思ったんだろう。







車を彼女の家の近くに停めた。
今年は、彼女の家で過ごすことに決まった。
去年と同じように、二人だけで、小さめのサイズのケーキと、彼女の手料理、そしてきっと俺の一番好きなワインが用意してあるんだ。



車を降りようとした刹那、胸がざわりと騒いだ。去年と同じように、目に見えない不安や恐怖を知らせようとする。





怖い?





怖いよ。





彼女をもしも失う日が来てしまったら。今ある幸せを、失ってしまう日が来るとしたら。
泣きそうになるくらい、怖いに決まってんだろ、そんなの。
でも大丈夫。そんな日は来ないからと、断言できる。
不安に思うことなんてないんだ。



なぜって、永遠に好きだから。



この想いを込めたプレゼントを、今から届けに行く。
ドアを開けた彼女を抱きしめて、メリークリスマスと言って、このプレゼントを渡す。
永遠に変わらない愛と、永遠に壊れることのないダイヤモンドの指輪を渡すんだ。
今年は彼女が泣けばいい。
恐怖も不安ももたらさない、ただの幸せと喜びをかみ締めて、涙を流してくれたらいい。



俺たちは、幸せになる。



今度こそ車を降りた。
石畳に薄く積もった雪を一歩一歩踏みしめて、階段を上ろう。






White X'mas






今、雪が舞い散る。