あぁ、来なかった。



イルミネーション。輝く大きなクリスマスツリー。きらめく街。
ずっと待っていた。一方的に告げたこの場所にずっと立っていた。
そのうち、雨が雪に変わった。



あの日彼女と出会った瞬間に、俺の頭の中には彼女と一緒に笑っている自分の姿がはっきりと浮かび上がったんだ。
一緒に笑って、ときどき泣いて、隣を歩いて、手をつないで。
それが、幸せで。
まぶしい夢を夢だとも思わず、いつか絶対に来る未来の姿なのだと信じてきた。
そんな自分を、勘違いした馬鹿な男だとは思わない。愚かだとも、絶対に思わない。
いつのまにかすれ違って俺を通り越してしまった彼女を必死に追いかけて、手を伸ばして、声をかけて。叫んだし、泣いたし、すがった。
それが届いていないことに気付いても、やっぱり止めることなんてできなかった。
だから、この日に、ここで待っていると伝えた。絶対に来てくれる、絶対に届くと信じて、ひたすら待った。





だけど、彼女は来なかった。





来ない、よなぁ。





本当はわかっていた。彼女が来ないこと。来るわけないとすら思っていた。
諦めや逃げや言い訳なんかじゃない。
だって、信じていた。
うん、信じてた。
だけど。
信じていた、つもりだったのだけれど。
信じきれていなかったなんてことは、絶対にないと断言できるけれど。
でも、やっぱり、わかっていた。
なぜだろう。



だって恋だったから。



彼女の気持ちがここにないことも、わかっていた。
わかってしまっていた。
それほどまでに、好きだった。
わからなくていいことをわかってしまうくらい、彼女を見つめ続けていた。



そんな、恋だったから。



彼女が来ないことがわかっていても、俺はここに来たんだ。
ある意味、けじめをつけに来たのかもしれない。
答えを、出したかったんだろう。
わかっていた答えを、きちんと自分に突きつけて、終わらせられるように。



プレゼントの入った箱を、そっとベンチに置いた。誰にも受け取られることのないプレゼント。
これは、ここに置いていく。
彼女がこの箱を拾い上げる日なんて永遠に来ないことも、わかっている。
それでもこれを置いて、俺は行く。
彼女との夢も、思い出すらも置いていく。
一個くらい、持っていきたいような気もする、けど。
置いていく。置いて行く。


置いて、行ける。



どこへ行こうか。
彼女なしで、一人で。
歩き出せば戸惑うけど、もう、行かなくちゃね。






White X'mas






またいつか、めぐり逢って。