時間つぶしに入った喫茶店。窓に結露が溜まっている。白く曇ったガラス越しにぼんやりと見える外の景色が少し変わった気がして、そっと窓を開けた。



雪になった。



呟いて、だけど吹き込んできた風が冷たくて、すぐに窓を閉めた。
待ち合わせまで、あと20分。








出会ってから初めてのクリスマス。二人の記憶にまた新しい何かが刻まれる。先週も会ったところなのに、もう会うのが待ちきれない。家にいるのが落ちつかなくて、プレゼント片手に家を出たら早く着きすぎた。雨の中を待っているのはつらいからと適当な喫茶店に入って、それでも腕時計ばかり見てしまう。



だけど、本当に。
本当に本当に、本当にさ。



俺が、こんなふうになる日が来るなんて。



彼女と出会う前の自分に見せたら、なんて言うだろう。まず目を見張って、もしかしたら笑うかもしれない。呆れてしまうかもしれない。馬鹿みたいだと言うのかもしれない。
毎日イライラすることばかりで、思い通りにいくことなんて一つもなくって。
夢とか希望探して、彷徨うだけ。
そんな日々に、ありきたりな言い方だけど、光が差し込んで。
それが、彼女だ。
夢も希望も、一度にいくつも生まれて、それは一つも消えはしない。
そんな幸せを、俺は今この胸いっぱいに抱いている。



こんな日が来るなんて思っていなかった。無縁だとすら思っていた。人を愛せないわけではない、愛されることだってできる。それでも、心のどこか。


俺はこんな幸せには往き着かない。
そう思っていたんだ。



何も知らずに、悟ったふりして、勝手に世界に失望して。



いざこんなにも幸せになったら、こんなふうに戸惑うんだから。
戸惑って、どうしたらいいのかわからなくて。幸せなときにどんな顔を浮かべるべきなのか、愛しているひとになんて言葉をかけるべきなのか、全てに迷ってしまう。



だけど、彼女は笑うから。
微笑んで、笑って、時には大声あげて爆笑して。まっすぐに俺を見つめて、愛してると言う。
愛してる。



「・・・愛してる」



声に出してみて、少し可笑しくて。
本人に言えよ、きっと喜ぶ。
そんなことはわかっているけど。



テーブルの上に置いたプレゼントに目やる。これに込められたメッセージに、彼女は気づくだろうか。
ありがとう。
出会えてよかった。
ずっと一緒にいたい。
愛してる。



ああ、もう、待ちきれない。
少し早いけど、立ち上がった。



早く会いたい。お前の笑った顔を見たい。抱きしめたい。



雪が薄く積もっていく地面を踏みしめて、彼女の元へ向かう。いつの間にか、早足になって。そんな自分に気づいて、少し笑って。



馬鹿みたい?



それも悪くない。



これが今の俺。
幸せに出会って、幸せで、それでもまた幸せに向かって早足になる。それがまた幸せだ。
愛を抱いて、愛に笑って、愛と眠って、



幸せに向かって二人で、永遠に。






White X'mas






心、確かめるだろう。